御所巻(ごしょまき)―世田谷区史編さん問題―

御所巻とは、中世の異議申し立て方法のことを言います。世田谷区による区史編さん委員へのパワハラと著作権の問題についてのブログです。出版ネッツのメンバーが運営しています。

「歴史研究と著作権法」シンポジウムの感想

7月15日の「歴史研究と著作権法のシンポジウムを聞きに行きました。
私は日本史が好きなので、登壇された歴史研究者の方々のお話はとても興味深いものでした。

今回のシンポジウムで「研究者は歴史記述の学術的精確性・妥当性に責任を持つ」「著書に誤りがあったら自ら正す。むしろ正したい」と話していたのが印象に残りました。
研究者の倫理観……矜持と言いましょうか、そういうものを垣間見たように思い、スタンディングオベーションをしたい気分でした。
この倫理観は若手からベテラン研究者まで皆さんが持っているのだと思いますが、著作者人格権は、この倫理観に関わることなのだとよくわかりました。

区民の方から「編纂委員の中には苦渋の選択でサインした人もいる」との話もありました。
これは、研究者の不安定な生活基盤などいろいろな問題が含まれていて、私がどうこう言える立場ではありません。しかし、研究者としては辛い気持ちなのではと心配になります。

やはり研究者として心置きなく区史に携わり、編纂委員も区の担当者も全員が気持ちよく区史編纂プロジェクトを遂行するためには、話し合いの場を持ち、契約を見直すことが第一なのではないかと思いました。

                                   (C.S.)