御所巻(ごしょまき)―世田谷区史編さん問題―

御所巻とは、中世の異議申し立て方法のことを言います。世田谷区による区史編さん委員へのパワハラと著作権の問題についてのブログです。出版ネッツのメンバーが運営しています。

区役所を直撃 区史編さん担当者を訪問

世田谷区民の方が、区史編さん担当者を訪問。情報を寄せてくださいましたので、ここで紹介いたします。

 

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2023年3月、駅頭で区議会議員が配布していた区政レポートを受け取り、目を通したところ区政ではなかなかご縁のない「編纂」という単語が目に入った。これが区史編纂問題に関心を抱いた端緒だった。

 

私の家族は曽祖母の代から数えて90年近く世田谷区に住んでおり世田谷の歴史を聞いて育った事、端くれながら歴史を研究していた時代もあり、人一倍関心が強かった事も要因だった。

 

その後のマスコミ報道を見て、当該である谷口氏を解任という乱暴な対応が取られた旨を知り、由々しき事態が起こっていると確信。

 

  • 保坂区長にメール

 

一区民として何かできないかと、4月の区長選中に保坂区長が「本件区長選後に対応する」とのコメントを関係団体に回答した情報も得たので、選挙後に保坂区長宛に本件にかかる問い合わせのメールを送付した。最初の返信は5月30日にあり、「本件は既に解決したもの(著者より承諾を得たもの)」というお役所的な回答。当然納得できず再度質問を投げると6月13日に「先方の申し出に応じた準備を進めているところ」と返って来た。

 

なお、この際、位置付けが「承諾済」から「準備中」になっている点が印象に残った。

 

  • 「先方(谷口氏)とは話し合いが進行中」と担当者

 

7月に入り、ちょうど区役所に行く用事があり、帰りに区史編さん担当(世田谷区政策経営部)にご挨拶に伺う事にした。

 

アポ依頼の電話を差し上げたところ、たらい回しにされる事もなく、担当者がご対応くださり、当日も名刺交換のみならず、オープンスペースに通してくださり、耳を傾けてくださる姿勢を見せてくれた。

 

「ご心配をおかけしている。本件、現在先方と話し合い中で、進行中の先方との話し合いを第三者に開示する訳にはいかない」とのコメントを頂戴した。

 

最終回答が決定していない議題を、第三者に開示できないのは組織として至極当然の事、お立場理解すると前置きした上で、

 

「一区民として信憑性の高い歴史書を後世に残していただきたい。ジャーナリストご出身である区長であれば誰よりも著作権を奪われる気持ち悪さはお分かりになる筈。区長がご対応いただくまでメールを差し上げ続けたい」との要望をお伝えし帰宅。

 

私のような全くの部外者を足蹴にする事なく丁寧な対応をしてくれた事には純粋に感謝したい。

 

  • 区史編さん問題でも「熟議」を求める

 

明確な回答は得ていないものの、本件、区として解決に向け動いてくださると期待している。

 

そんな最中に興味深い動画を見つけた。保坂区長の活動レポートである。閲覧すると、「『熟議』とことん話し合うことから始めよう」という動画が真っ先に目に入る。

 

動画の最後は「民主主義というものはものすごく可能性がある。あらゆるテーマについて世田谷区ではボトムアップ型。意見を聞いてから決めていく(中略)そんなやり方を取ってます。熟議 とことん話し合って決めていく、皆様との熟議を重ねて区政をしております。」と締め括られている。

 

世田谷区史編纂問題においては、ボトムアップ式の意見を聞いての対応が取られているであろうか。残念なことに一連のご対応は、時間軸から見てもトップダウン式で即決された印象が拭えない。

 

また今回、40人中38人の著者が承諾書を提出したとの報道だが、果たして全員が心から賛同しての提出だったかも疑問が残る。

 

長期区政を担う保坂区長においては、ぜひ本件にも熟議を重ねていただきたいと願わざるを得ない。

 

                            (世田谷区民・Kyara)

 

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【「御所巻」事務局のコメント】

たらいまわしにされることなく、スムーズに面談ができたようで、何よりです。さすが、区民とともにある開かれた行政組織、これぞ世田谷クオリティ!と言いたいところですが、担当者の発言は事実と異なります。非常に残念なことですが。

現在、出版ネッツと谷口さんは不当労働行為で世田谷区を労働委員会に救済申し立てを行っており、6月第1回の調査が行われたばかりです。これを「話し合い」とは表現するのは非常に無理があります。

とはいえ、私たちはまさにその「話し合い」を求めて、労働委員会へ申し立てました。ですので、もしかしたら、その「話し合い」に向けて、区のほうも歩み寄るという意向の表れなのでしょうか?

それならば、歓迎です。行政が区民に嘘を言う、まさかそんなことはありませんよね?