9月1日、東京都労働委員会で第2回調査が行われました。組合側が「準備書面1」を出して迎えた調査でした。
組合側「準備書面1」では、おもに次のような内容を主張していました。
2017年の無断改ざんに関する区の主張への反論
世田谷区は答弁書において、区の行った無断改ざんについて、「原稿の修正については谷口雄太さんの了承を得ている」などと主張していた。これに対して、無断改ざんが行われた経緯を、証拠を示しながら反論した。
組織改編と委員委嘱の任期の変更について
2022年3月、区史編さん委員会の改変が行われ、同時に委員委嘱の任期についても、当初の「区史編纂が終了するまで」から「1年ごと」に変更された。その理由として区は「組織の効率化」を挙げる。どのように効率化されたのかは不明だが、仮にそれが必要だったとしても、「区史編纂が終了するまで同じ人が委員を続けることには高い合理性がある」ことは変わらない、と反論。谷口さんには「委員を続ける期待権がある」とも主張した。
ハラスメント問題の経緯
谷口さんは、2017年の原稿改ざんをめぐるやり取りの中で区の職員他からのハラスメントに遭っている。さらに、谷口さんが区の「ハラスメント防止基本方針」に基づき(当時「基本方針」の「職員」の定義には「委託業務に従事する者」も含むとされていた)、相談窓口に相談したが、「職員以外からの相談は受け付けない」と言われた(二次被害にあたる)。委員委嘱打ち切りの背景にあるハラスメント問題の経緯を、証拠を示しながら詳しく述べた。
そのほか、委員委嘱打ち切りと谷口さんの組合活動との関係や、谷口さんが労働組合法上の「労働者」にあたることなども主張した。
三者委員(公益委員、労働者委員、使用者委員)は、「準備書面1」の内容をよく把握していて、「 区史編さん委員会の体制変更が行われているが、変更前と変更後では、メンバーは変わっているのか」など、突っ込んだ質問をいくつか受けました(「谷口さんは外されたが、それ以外のメンバーはほぼ同じ」と答えました)。
とくに公益委員(川田琢之筑波大教授・労働法)は、同じ学者として、世田谷区の著作権の扱いや区史編さん委員への対応に疑問を抱いているように思えました。
次回第3回調査は、11月6日です。たいていは1カ月に1回開かれるのですが、世田谷区は三者委員からの質問に対して「わからない」ことが多く、準備書面作成に時間がかかるため、2カ月後の期日になったようです。
(杉村和美)